疾患について

胃腸疾患

胃腸科の疾患の症状と治療法です。下の病名のタブをクリックすると、詳細が表示されます。

逆流性食道炎(胃食道逆流症GERD)

食道と胃のつなぎめの括約筋がゆるいため、胃酸の食道への逆流がおこり胸焼け、つかえ感が生じます。内視鏡的に食道にビラン、潰瘍を認める逆流性食道炎とビラン等の異常がみられないが、胸焼け等の逆流症状を訴える非ビラン性胃食道逆流症があり、いずれも胃酸分泌を抑える薬が有効です。肥満者、高齢の女性(特に、背中が丸まった方)に多く、非ビラン性胃食道逆流症は若いやせた女性に多い。咽頭炎やせきの原因になっている方もいます。

非ビラン性胃食道逆流症は逆流性食道炎より、胃酸分泌抑制剤の効きがやや悪く(薬の効きが遅いこともある)、安定剤や漢方薬が有効なこともあるようです。

食道癌

60歳代、70歳代の男性に多く、特に長期間のアルコール歴や喫煙歴がある方に多くみられます。症状として、食べ物のつかえや、背部痛、体重減少などがありますが、いずれもガンが進んで出現する症状であり、無症状のうちに発見する事が重要です。

早期発見のためには、年1〜2回程度の定期検診が不可欠です。検診で発見された早期ガンでは、内視鏡的切除も行われ、ほとんどが完治します。特に喫煙や飲酒などの習慣がある方は、定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めします。

胃炎

急性胃炎は上腹部痛、吐き気、胸焼けなどの症状が、急に起こります。原因は鎮痛薬、アルコールやストレスなどがあります。通常、数日間胃薬を服用する事で軽快します。

慢性胃炎は胃もたれや鈍痛、上腹部膨満感といった症状がみられこともありますが、無症状で内視鏡検査で指摘されることもあります。原因のほとんどはピロリ菌感染です。

胃潰瘍

みぞおちの痛み(食後1時間ぐらいが多い)が2/3以上の方に認められ、腹部膨満感、胸焼け、げっぷなどもみられます。
原因としてはピロリ菌感染が大きく関わっており、次にNSAID(非ステロイド系抗炎症薬、鎮痛薬)があげられます。
胃酸分泌を抑制する薬(H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬)で潰瘍は消失するが、中止すると高率に再発する。再発予防にはピロリ菌除菌が有効である。

十二指腸潰瘍

空腹時の痛みが特徴的で、背部痛がみられることもあります。治療は胃潰瘍とほぼ同様です。

機能性上部消化管症候群:FD(functional dyspepsia)

胃もたれ、みぞおちの痛み、食欲不振、悪心、嘔吐といった症状があるが、内視鏡で観察しても強い胃炎や潰瘍等の明らかな異常(器質的疾患)がなく、胃の働きが不良等(機能的疾患)が原因と考えられるものをいいます。

みぞおちの痛みを訴える潰瘍症状型、胃もたれ、食欲不振、悪心、嘔吐をきたす運動不全型、どれにもあてはまらない非特異型に分けられます。

潰瘍症状型には酸分泌抑制薬、運動不全型には運動機能改善薬、非特異型はストレスが原因と考えられ、精神安定薬、抗うつ薬、抗不安薬や自律神経調整薬が使われます。

胃ポリープ

胃のポリープには胃底腺ポリープと胃過形成性ポリープ、胃腺腫があります。 その大部分は胃底腺ポリープです。胃底腺ポリープは胃底腺の過形成で炎症所見もなく、癌化もみられません。一方、過形成性ポリープの頻度は2%程度ですが、粘膜の強い炎症所見が特徴で炎症性のポリープの所見を呈し、自然には消失せず、癌化の頻度は1.5〜3%です。ピロリ菌感染との関連性が高く、ピロリ菌除菌治療で縮小、消失する事があります。胃腺腫は2cm以上で癌化率が高く、内視鏡的切除が行われています。

胃癌

日本は世界で最も胃癌の多い国として有名でしたが、90年代から調整死亡率は著名に減少しています。胃癌検診、内視鏡検査の普及による早期発見、早期治療が行われたためと考えられます。今後は、ピロリ菌と胃癌との関連性が確認されたことにより、ピロリ菌の除菌治療が多く行われるようになり、胃癌は更に減少すると予想されます。

ピロリ菌以外の胃癌発症に影響を及ぼすものとして、過食、高塩食、喫煙があげられます。こうしたものは避け、果物、野菜の摂取や適度の運動は他の悪性腫瘍の予防にもなりますので、積極的に取り入れましょう。

ピロリ菌感染

ピロリ菌はらせん状をした細菌で、4〜8本のしっぽをヘリコプターのように回転させて移動することから、ヘリコバクター・ピロリと名付けられました。 胃の中は酸性が強く、生物が生きていけるような環境ではありませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で胃酸を中和する事により、胃に住むことができます。

日本では40歳以上で約70%の感染率で、全国民の約半数が感染しており、ほとんどが幼少時に感染するといわれています。

ピロリ菌除菌治療は抗生剤と胃酸分泌を抑制する薬を1週間服用します。ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性(萎縮性)胃炎、胃がん、胃MALTリンパ腫の発生や進行に関係していますが、除菌治療は胃潰瘍と十二指腸潰瘍のみが保険適用になっています。
除菌する事により胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発は減り、慢性胃炎の方は胃がん予防効果があると考えらています。

ピロリ菌の検査にはピロリ菌感染の判定や除菌治療後の効果判定など目的に応じ、様々な検査法があります。

  1. 迅速ウレアーゼ試験
    生検で採取した組織の中にいるピロリ菌のウレアーゼ活性を利用した検査法です。結果判定まで短時間で、しかも安価なため、胃内視鏡検査で潰瘍を認めた際に同時に行われることが多いです。除菌後の判定にはあまり向いていません。

  2. 尿素呼気試験
    これもウレアーゼ活性を利用した方法ですが内視鏡検査の必要はなく、呼気(息)で調べる方法です。除菌後の判定にも有効で、現在最も用いられています。

  3. 鏡見法
    生検で採取した組織の中にいる菌を顕微鏡検査で確認する方法。

  4. 培養法
    生検で採取した組織の中にいる菌を育てて診断する培養法。

  5. 血中抗ピロリ菌抗体測定
    採血を行い、血液中の抗ピロリ菌IgG抗体を調べます。薬の影響を受けないため、潰瘍治療薬を服用中あるいは中止直後の感染診断に有用です。 一方、除菌に成功すれば抗体価は低下しますが、完全に低下するには1年以上を要するため、初期の除菌判定には適していません。

  6. 尿中抗ピロリ菌抗体測定
    尿検査なので負担が少なく、人間ドックや検診などのスクリーニングに有効です。

  7. 便中ピロリ菌抗原測定
    便中のピロリ菌抗原を調べる方法で、負担がなく小児での検査も可能です。
大腸ポリープ

大腸ポリープはイボやキノコ状に盛り上がった“できもの”です。
大腸ポリープには過形成性ポリープや炎症性ポリープ、腺腫があります。大腸ポリープのほとんどは腺腫です。腺腫は大腸癌の前癌性病変のため、5mm以上のポリープでは内視鏡的ポリープ切除術が行われます。5mm以下でも表面陥凹型(凹んだ腫瘍)は癌化率が高く切除が必要です。

大腸ポリープを内視鏡的切除した方は、通常一年後に大腸内視鏡検査で経過観察をおすすめしております。これは、大腸ポリープを切除した方の場合、通常の方よりもポリープができやすい体質と考えられるためです。また、前回の検査で見えなかった小さなポリープが、一年後に大きくなっている可能性もあるからです。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

ポリープに内視鏡内部の管から挿入したスネア(金属性ワイヤー)を掛け、スネアに高周波の電気を通し焼灼して切除します。
内視鏡的ポリープ切除術
大腸癌

食生活の欧米化に伴い、大腸がんが増加しています。特に女性では2004年から胃がんを抜いてがん死因の1位になり、男性でも、2015年には肺がんに並ぶであろうと言われています。

症状は下腹部痛、便秘、下血、腹部膨満、便柱狭小などがあります。
早期癌の多くは無症状(早期癌の便潜血陽性率はわずか20〜30%)です。
腺腫(ポリープ)から徐々に異型が生じ癌になるものと正常細胞からいきなり癌になるものがあります。

早期癌の多く(SM層の浅いところまでのもの)は内視鏡手術で完治するので、早期発見が重要です。早期発見には大腸内視鏡が必要です。

大腸癌

潰瘍性大腸炎

大腸の慢性炎症性疾患で、原因は不明ですがストレス、免疫異常が関係していると考えられています。食の欧米化により増加しており、罹患者数は90000人に達しました。初期では腹痛と下痢、粘血便(粘液と血便)を認め、重症になると排便回数が1日10回以上となり発熱や貧血を伴うようになります。

病気の範囲で直腸炎型、遠位大腸炎型(S状結腸まで)、左側大腸炎型、全大腸炎型に分けられます。

治療は薬物療法としてアミノサリチル酸製剤(ペンタサ、サラゾピリン)の内服や座薬、浣腸による投与や免疫抑制薬、ステロイド等があります。他には血液ろ過療法があります。大腸穿孔(腸に穴があく)や中毒性巨大結腸症(大腸が拡張し腹痛や高熱、貧血を呈する)となった場合は手術が必要です。

また、10年以上経過した全大腸炎型では、発がんのリスクが高いといわれ、定期的な大腸内視鏡検査が必要です。

潰瘍性大腸炎の年度別患者数の推移

クローン病

口から肛門まで全消化管のどこにでも起こりうる原因不明の慢性炎症性疾患です。小腸と大腸に多く、小腸型、小腸大腸型、大腸型があります。10〜20代の若年者で下痢、腹痛、痔瘻(じろう)などの肛門病変、体重減少、発熱といった症状が見られます。日本でも食の欧米化により増加しており、罹患者数は25000人に達しました。

痔瘻(じろう)や皮(ひ)垂(すい)などの難治性肛門病変は腸管病変に先行して見られることがあり、肛門科で診断されることも多い疾患です。診断には、大腸内視鏡検査、胃内視鏡検査、時には小腸内視鏡検査が必要です。

治療は栄養療法が第一に行われ、糖分やたんぱく質を小さな分子まで分解したジュースを服用する成分栄養と脂肪制限をおこないます。薬物療法としてアミノサリチル酸製剤(ペンタサ、サラゾピリン)や免疫抑制薬、ステロイド、最近では中〜重度の活動期患者や外瘻を有する方に抗TNFα抗体(レミケード)が使用され高い治療効果が報告されています。腸管が炎症のため狭くなりますと内視鏡的拡張術や外科手術が必要となります。22%が緩解維持し、25%が毎年活動期にあり、半数が緩解と活動期を繰り返しています。

クローン病のの年度別患者数の推移

大腸憩室症

大腸憩室とは大腸粘膜が筋層の血管が通るすき間にポケット状に脱出した状態を言い、4人に1人にみられる。ほとんどが無症状ですが、憩室炎を起こすと腹痛、発熱を認め抗生剤治療が必要となる。また、憩室出血による下血を認めることもあります。

虚血性腸炎

腸管の急性循環障害で、一過性型、狭窄型、壊死型がある。突然の強い腹痛とその後下痢、下血がみられます。高齢者では動脈硬化が原因であることが多く、中年や若年者では便秘が関与している事が多い。壊死型を除けば、多くは保存的に軽快します。

感染性腸炎

細菌やウイルスが腸内で増殖する事によっておこる。下痢、腹痛、発熱、下血等がみられます。夏季にはカンピロバクター、サルモネラなどの細菌が冬季ではノロウイルス、ロタウイルスが病原体のことが多い。小児や高齢者では重症化しやすく、腸管出血性大腸菌感染により高齢者の死亡例が多く報告されました。

過敏性腸症候群

器質的疾患(がんや炎症性腸疾患)が無いにもかかわらず、腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘を繰り返す疾患で、4つのタイプに分類されます。10〜40歳代の若い方に多いですが、最近では中高年の方にもみられ、人口の10〜20%にこれらの症状がみられるといわれています。ストレスによって症状が誘発され、おなか以外の不眠や頭痛、食欲低下などの症状が出ることもあります。

過敏性腸症候群のタイプ
下痢型:泥状便、水用便が多いタイプ、若い男性に多い。
便秘型:硬い便、コロコロ便が多いタイプ、女性に多い。
混合型:下痢と便秘を繰り返すタイプ。
ガス型:腹部が張り、ガスが多いタイプ

治療は規則正しい生活習慣と刺激の少ない食事と何といってもストレス解消が重要です。努力しすぎたり、心配しすぎたりせずに、リラックスした生活を心がけましょう。薬物治療には下痢や便秘などの症状に合わせた薬が使われ、最近では下痢型の治療として腸の過敏性を抑える薬も使われるようになりました。また、抗うつ薬が有効な方もいらっしゃいます。

便秘

便秘とは一般的には3日以上お通じがみられない状態をいいますが、毎日お通じがあっても、便が残っている感じが続いたり、おなかが張っていたら、便秘の治療が有効なことがあります。便秘には様々な原因が考えられます。ただ下剤を飲めばよいといった事では、なかなか便秘を治すことはできません。まず、自分がどのような原因で便秘になってなったのかをしっかり把握し、それぞれの原因にあった治療をすれば、それほど便秘解消には苦労しません。
便秘はまず、大腸ポリープや大腸がんが原因で腸が狭くなっておこる器質性便秘と機能性便秘に分類します。機能性便秘には一時的な水分不足や最近では過度のダイエットも原因と言われている一過性便秘と常習性便秘にわけます。常習性便秘には弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘があります。

便秘について

弛緩(しかん)性便秘は大腸の緊張が低下し、大腸の動き(蠕動運動)が弱くなります。便の通過は遅くなり、水分が吸収されて硬くなります。
痙攣(けいれん)性便秘は自律神経の過度の緊張により大腸がけいれんし、便の通過が障害されます。
直腸性便秘は直腸の排便の働きが弱いため、直腸に便が詰まった状態になります。

では、どのように治療すればよいでしょうか。

弛緩性便秘の方
食物繊維を多く含んだ食餌を取るように心がけましょう。適度の運動も有効です。下剤を使用する際は、浸透圧の差で腸内の水分吸収を抑えることにより便を軟化させる酸化マグネシウムなどの塩類下剤を中心に服用し、それだけで不十分の際は刺激性下剤を併用します。

けいれん性便秘の方
神経質でストレスが多い方によくみられます。規則正しい生活と3食しっかり食べて便の量を増やすことが改善につながります。腸粘膜を刺激する辛いものは控え、刺激性下剤は腹痛を増強させるおそれがあるので原則的には服用しない方が良いでしょう。酸化マグネシウムは有効です。

直腸性便秘の方
便意の鈍化や麻痺が原因であり、排便を我慢する事はよくありません。必ず朝食を摂り、朝食後に排便する習慣を身につけるようにします。また、腹筋運動も効果的です。薬は酸化マグネシウムと刺激性下剤を併用しますが、それでも排便効果が不十分の際は、排便反射を誘発する坐薬を使用します。
腸に器質的疾患(がんやポリープ)がないことを確認することは非常に重要です。改善しない慢性的な便秘症の方はぜひ、大腸の検査を行ってください。

HNPCC(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)

大腸癌をはじめとする癌に罹りやすい体質で、常染色体優性遺伝です。
全大腸癌の1〜5%で、DNAのミスマッチ(作り間違い)修復機構に異常が生じ、癌を発生します。HNPCC関連癌には子宮内膜癌、小腸癌、腎盂・尿管癌があります。20〜25歳から大腸内視鏡、上部消化管内視鏡を毎年施行することが望ましいといわれています。

FAP(家族性大腸腺腫症)

大腸におよそ100個またはそれ以上の腺腫を発生するか、100個には達しないが家族性大腸腺腫症の家族歴がある方はFAPです。
40歳代で50%に、60歳までに90%に大腸癌が発生するため、治療は大腸全摘が基本で、20〜35歳で大部分が手術適応になります。

船橋肛門・胃腸クリニック
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肛門外科、胃腸内科、内視鏡内科

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